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パワハラ

【公開】パワハラがついに法律化。定義から罰則、条文まで徹底解説

「パワハラといってもどのような行為が当てはまるのだろうか」
「うちの会社はいつから、どのような対策をすればよいのだろう」
「もしパワハラ対策が十分にできていなかったら、なにか罰則でもあるのだろうか」

こんな悩みにお答えします。

2019年5月29日、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防ぐため、企業に対して対策を義務づける労働施策総合推進法(正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)の改正案が参院本会議により可決しました。

セクハラ(セクシャルハラスメント)やマタハラ(マタニティハラスメント)については、すでに男女雇用機会均等法ですでに法律化されていましたが、この度、パワハラに関しても法律化される運びとなりました。

この記事をご覧いただければ、パワハラの定義、法改正の内容、企業に求められることをまとめて把握することができます。

今回は、【公開】パワハラがついに法律化。定義から罰則、条文まで徹底解説についてお話します。

パワハラ防止法が成立


パワハラについての防止措置義務を定めた法律、「労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」とは一体どのようなものなのでしょうか。

まずは、法律の目的から覗いていきましょう。

労働施策総合推進法の目的とは

労働施策総合推進法の目的は次のとおりです。

(目的)

第1条 この法律は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。

法律上だととてもむずかしい表現がとられていますが、国として労働政策も力を入れていくよ。ということを言っています。

次に、今回、最も重要となる法改正の部分についてみていきましょう。

国がパワハラ問題について取り組む方針を明記

同法律の中で、国としてパワハラ問題に関する取り組みが書かれている箇所は以下のとおりです。

14 職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実すること。

こちらの内容のうち、「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題」という部分がパワハラ問題のことを指しています。

続いて、企業に対する措置義務についてみていきます。

企業が取り組まなければならない措置とは

労働施策総合推進法における、企業が取り組むことが義務化された内容は次のとおりです。

①事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない(労働施策総合推進法30条の2第1項)。

②事業主は、労働者が①の相談を行ったこと又は企業による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない(労働施策総合推進法30条の2第2項)。

③事業主は、①に規定する言動を行ってはならないことその他当該言動に起因する問題(「優越的言動問題」)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる措置に協力するように努めなければならない(労働施策総合推進法30条の3第2項)。

④事業主(法人である場合には、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない(労働施策総合推進法30条の3第3項)。

さらに「第8章 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等」という新たな章が設けられ、次のような条文も定められました。

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

つまり、パワハラのような行為が会社の中で発生した場合、適切な対処をする必要があると書かれています。

企業が対処するべきポイントは

企業が対処しなければならないパワハラに該当するような行為とは、一体どのようなものでしょうか。

先程の条文に書かれている次の2つがポイントとなります。

  • 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

つまり、職場において上司や先輩、知識や経験が豊富といった相手より立場が上にある者が、部下や後輩に対して業務の適切な範囲を超えて行う行為がパワハラになるとしています。

パワハラついては厚生労働省が定義しており、詳しくは、こちらの記事【動画付き】パワハラ(パワーハラスメント)の定義と6つの分類が役に立つと思います。

https://fins.biz/power-harassment-teigi

このような内容で取り決めが行われたパワハラ防止法ですが、企業はいつから、どのような対策を打てばよいのでしょうか。

企業の対策、義務化はいつから始まるのか


企業に対してパワハラについて具体的な措置をとならければならないのは、いつからなのでしょうか。

こちらは、大企業、中小企業によって少しではありますが、時期が異なります。

  • 大企業は2020年6月
  • 中小企業は2022年4月(中小企業は2020年〜2年間は努力義務)

になる見通しとなっています。

まだ、期間少しがあるから安心というわけではありません。

全体の内容や計画など、決める項目が複数に渡りますので早めの着手が望ましいでしょう。

企業の対策内容と対策をしなかったときの罰則はあるのか


では、パワハラに対して企業はどのような取り組みをすればよいのでしょうか。

今日現在、企業に対する具体的な対策内容はまだ決まってはいません(2019年5月現在)。

また、パワハラに対する企業の対策義務化が始まったあと(大企業は2020年、中小企業は2022年4月以降)、その義務を守らなかった場合の罰則についてですが、従わない企業に対しては、厚生労働省から改善を求めるように指示がきます。それでも従わないようであれば厚生労働省が企業名を公表するという場合もあるとされています。

つまり、パワハラ問題に対する施策を何も行っていないような企業は、その企業名が公表され、企業内でパワハラが行われているが何もしていない企業ということが世に知れ渡ってしまう可能性もあるということです。

補足:パワハラは日本だけの問題ではない


このように企業への対策が急がれているパワハラの問題は、日本特有のものなのでしょうか。

実は、そうではありません。

パワハラなどのハラスメント行為は、世界的にも問題視されており、ヨーロッパを中心に職場のハラスメントに関する法規制が進んでいます。

さらに、2019年6月21日には国際労働機関(ILO)が職場におけるパワハラやセクハラを禁止する国際条約の取り決めを初めて行いました。

この条約では、仕事での暴力とハラスメントを「身体的、心理的、性的、経済的被害を引き起こす、または引き起こしかねない、さまざまな受け入れがたい振る舞いや慣行」と定義しています。

まとめ

今回は、【公開】パワハラがついに法律化。定義から罰則、条文まで徹底解説についてお話しました。

このようにパワハラの問題は、企業の中だけの問題ではなく、国や世界中で問題視されている行為です。今までは、なんとか許されてきたことが今後は許されなくなるようなケースも出てくるでしょう。

そうならないためにも、企業としてパワハラの問題は最優先事項として取り組むべき問題だと言えるでしょう。

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ABOUT ME
原田 彗資(はらだ さとし)
大手企業にて10年間で述べ、200名以上の部下をマネジメント。転職するもブラック企業でうつ状態へ。その後、完全未経験から独学でWeb製作、Webマーケを学ぶ。個人で稼ぐ力が身につくサイト「fins」を運営中。東洋経済オンラインをはじめ、大手メディアへの寄稿、出版も行う。
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